踊る文学おじさんの生活

皆がすなる「ぶろぐ」といふものを文学おじさんもしてみむとて、するなり。元・文学青年の生活を書き殴ります。

サブカル女子はどこへ消えた?

サブカルというものが好きである。いや、好きであったという表現が正しいのか。

 

20代前半から半ばにかけて、「大衆に迎合しない俺カッコイイ」、いわゆる大二病に罹っていた時期があった。

大学を卒業してからも当分は罹患していたから、相当重症である。(今でも罹っている説もある)

具体的な症状を言うと、

・やたらと飲み会を開きたがる

・飲み会を「呑み」とか言っちゃう

・全身全霊をかけてmixi日記を書く

・その時の日記のタイトルが村上春樹の小説の引用だったりする

・ダウナーなロキノン系バンドばかり聴く

・カラオケで誰も知らないマイナーバンドの曲をドヤ顔で歌う

・特に用もないのに下北沢をウロウロする

etc...

うーん、これ単にメンヘラの嫌な奴だな…。思い返すだに恥ずかしい。

胃がキリキリしてきた。

 

当時は何か他人と違うことをしたくて、色々と斜に構えて行動していたのだが、いかんせん根っこは東北の田舎者である。

生まれも育ちも東京のシティボーイ(死語)たちの、スマートな振る舞いにはかないっこないのであった。

 

そんな僕であったが、長年症状をこじらせ続けていると、類は友を呼ぶのだろうか、自然と同じようなタイプの人間と付き合うようになった。

そう、その仲間のうちにいるのである…。

サブカル女子が。

極太フレームのメガネをかけ、ベレー帽をかぶり、首からはCanonios Kissをぶら下げ、夏でもブーツしか履かないサブカル女子が!

だいたいメンヘラも併発していて、何故か一様に椎名林檎Coccoが好きで、ヴィレッジバンガードで売ってる本しか読まないよ、みたいなサブカル女子が!!

やたらと酒強いアピールをし、僕が最近読んだ本の話をすると、「あ〜、ようやくその辺のカテゴリ読み始めたか」とマウントを取り、リア充たちの前では借りてきた猫のように大人しくなるサブカル女子が!!!

 

(取り乱しました、すみません…。)

 

今なら微笑ましいエピソードなのだが、当時の僕はこのサブカル女子という人種に一種の同族嫌悪の念を抱いていた。自分の好きなものの話は通じるし、相手の話していることもだいたい分かる。でも、会話はそんなに楽しくない。

僕も相手も自分が大好きすぎてあまり人の話を聞いていないのだ。サブカル界隈の人間にとってはあるコンテンツを「知っている」ということ自体が大きな武器だし、必然的にマウント合戦になりやすいのだと思う。

だから、相手と会話しているのではなく、相手を打ちのめすような、それでいて自分の知識を再確認するような、そんな話し方になってしまっていたのだろう。(どちらもコミュ障過ぎて目を見て話せなかった)

 

そんな当時のサブカル女子たちも、今やそろってアラサーだ。

一昨年、学生時代に付き合いのあったサブカル女子から結婚式のお招きを受けた。聞けばお腹の中には赤ちゃんもいるという。

あんなに攻撃的だった性格は鳴りを潜め、サブカル趣味もすっかり卒業したそうだ。今ではすっかり良き妻であり母である。人間、変われば変わるものだ。

大学を卒業後、彼女とはめっきり交流が無くなってしまっていたのだが、いつどのタイミングでサブカル趣味をやめたのだろう?僕自身も、サブカルから遠ざかった時期をはっきりとは覚えていないのだが。

 

昔のコギャルやヤマンバギャルが大人になってナチュラルメイクのOLになったように、サブカル女子も自然と卒業していくものなのだろうか。

スタバで熱っぽい議論をしているサブカル風の学生を見るたびに、少し気恥ずかしいような、寂しいような気持ちになるのであった。